JAAMA 全国自動車用品工業会

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「第一回メタバース総合展・夏」を視察

全国自動車用品工業会の技術委員会(加藤学委員長)は、2023年6月28日から30日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「第一回メタバース総合展・夏」を視察した。メタバースはインターネット上に作られた仮想空間のことで、社会や産業の在り方を大きく変えるものとして、注目を集めている。視察した技術委員会メンバーにメタバースの事業化や可能性、自動車業界、自社への展開などについて聞いた。
■メタバースの事業化や可能性について
「すぐに事業化は難しいが、大きな可能性を秘めている。ただコンテンツの充実、仕様の統一化、安全性への配慮など、取り組むべき課題は多い」
「VRゴーグルや専用アプリ等が必要なメタバースサービスは、没入感の高さが魅力である反面、まだ一般的なユーザーが利用するにはハードルが高い。一方で、ブラウザベースかつスマホ単体で動くメタバース空間を提供しているサービスもあり、まずはそのような手軽なプラットフォーム上で何ができるかを検討してみたい」
「最近のジェネレーティブAIの進化は今後のメタバース界にも大きな影響を及ぼすのでは。例えばメタバース空間上で見ず知らずの人とコミュニケーションを取る場合、どうしてもストレスを覚える事もある。しかしAIとのコミュニケーションであれば、現実世界から切り離された真の『仮想空間』としての利用範囲が広がる可能性がある」
「メタバースそのものは規模が大きく共同で何かを仕掛けるというプランニングが必要で、研究チーム、勉強会などを作り、取り組まなければならないだろう」
「広報や人事面などを中心に活用できそうな部分があった」
「現時点では事業化に結びつくヒントは得られなかったが、いろいろなことを模索しているので、継続して情報収集したい」
■自動車関連業界や自社への展開について
「外出困難な方々にツーリングや観光の機会を提供したり、カーレースなどの疑似体験だけでなく、さまざまなコンテンツを提供できる可能性がある」
「メタバースはアフターマーケットの用品メーカーにとって、新たなユーザーとの関係構築や製品プロモーション、販売チャネル拡大などの機会を生む可能性がある。例えば、仮想ショールームやバーチャル試乗で製品を体験できたり、製品を直接購入できる仕組みを作る事で、より効果的かつグローバルなビジネス展開が可能になるのでは」
「クルマ関連の場合、サーキットなどの観客席やピットを仮想空間として疑似体験させるためのプラットフォームづくりができそう。ただプラットフォームづくりにはかなりの費用がかかるので1社2社で簡単にできることではない」
「自動運転が進むことにより、車内で自分の時間を過ごせる環境が整っていくはず。そうした際にクルマの中で何ができるのか、新たにできることに対応する需要も生まれると思う」「バーチャルオフィスはまだ現実的ではないが、臨場感のあるコミュニケーションツールという観点では、便利さに目新しさがプラスされることで変化が生まれる可能性はある」